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海月との別れ

フライトが成功し役目を終えた海月ですが、その体が予定外に巨大で、そのままでは車に入り切らない大きさです。いつもなら、ひとまず家に持って帰ってから、可能なら保管し、それが難しいのであれば川原に持って行って燃やしています。

今回は紙の他にもビニールを使っているので燃やすことはできません。中学校の視聴覚準備室に置かせてもらっていましたが、いつまでも置いておくことはできないので、思い切って処分することになりました。

制作した中学生とビニールと紙を切り離していきます。制作には計10日、時間で言うなら約50時間かかりましたが、切り離すのは1時間ほど。いつももったいない思いはありますが、花火のように一回しか上げられないというのも、気球の魅力的なところです。

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ビニール袋にそれぞれ小分けにします。空気を抜いていくと大きかった海月がビニール6個分になりました。それらを車につめて、これで海月とはお別れです。
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長かった海月の企画もこれですべてが終わりました。

岐阜の巨木

岐阜でふたつの巨木に会いました。


■淡墨桜
岐阜県本巣市の淡墨公園にありました。樹齢は1500年以上で天然記念物にも指定されています。日本三大桜のひとつ。ちなみにあと2つは、福島県の三春の滝桜と、山梨県の山高神代桜だそうです。雪で枝が折れないように枝のひとつひとつが補強されていました。

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■飛騨国分寺のイチョウ
飛騨国分寺にある推定樹齢1200年のイチョウ。高さは37メートルにもなります。気根が乳房ににていることから「乳イチョウ」とも呼ばれています。飛騨ではこのイチョウの葉が落ちると雪が降るという言い伝えがあるそうです。この季節では葉はすべて落ちていて雪も降っていました。11月頃は葉が黄色に染まるそうです。

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白川郷に行く

寄り道しながら岐阜に来ましたが、目的地の白川郷にやってきました。

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岐阜市とは打って変わって雪で真っ白。そこに尖った茅葺き屋根の建物が並んでいます。写真で見たことはありましたが、実際に行ってみると感動します。

2010_12_26_02.jpg中に入ることができる合掌造りの家、和田家に入ってみました。見学できるように開放していますが、現在も住民の方が生活しているそうです。養蚕と硝石を作って営んでいたそうです。屋根裏まで登ることができ、合掌造りの構造を見ることができます。

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行ってみて知ったのですが、白川郷内に宿もあり、合掌造りの家に宿泊することもできるそうです。是非次回は泊まってみたいものです。

名和昆虫博物館と岐阜城

養老天命反転地を見たあと、岐阜市に戻り『名和昆虫博物館』という現存する日本最古の昆虫館に立ち寄ってみました。

チョウ、トンボ、カブトムシ、クワガタ、そしてギフチョウなど、たくさんの種類の標本がびっしりと展示されています。標本になっている虫のクオリティーもすばらしいのですが、昆虫のレイアウトが非常にカッコいいです。2階には壁一面にモルフォチョウの展示がされていました。見る人の顔が青くなるほどキラキラと輝いています。2010_12_25_02.jpg2010_12_25_01.jpg
こんなチョウが壁にビッシリと。美しさを越えて迫力があります。

名和昆虫博物館のすぐ近くに岐阜城に続くロープウェイ乗り場があります。夕方でしたが、まだ最終搭乗時間に間に合ったので乗り込みました。岐阜城は1201年に標高329mの金華山の頂に、鎌倉幕府によって築かれた城です。城の中は展示場になっていて、最上階は展望台になっていて、景色を360度見渡すことができます。2010_12_25_03.jpg

山の頂上なので攻めるのは難しく『美濃を制すものは天下を制す』と言われたそうです。ここから見える景色が自らの管理下にあるというのはどんな感じなのでしょう。

養老天命反転地

白川郷を見に岐阜県に行ってきました。
白川郷は合掌造りが立ち並ぶ集落で、世界文化遺産にも登録されています。

そのついでに岐阜県養老郡にある『養老天命反転地』に行ってみました。
『養老天命反転地』は1995年に開園した荒川修作とマドリン・キンズ(米)によってプロジェクトされた空間です。

2010_12_24_01.jpg『養老天命反転地記念館・養老天命反転地オフィス』
迷路のように壁がたくさんあり、すべて水平にカットされていますが、地面は急勾配になっています。

2010_12_24_02.jpg2010_12_24_03.jpg『極限で似るものの家』
壁や天井にソファーやお風呂などの家具が埋め込まれた空間です。

2010_12_24_06.jpg『地霊』
真っ暗な部屋を手探りで進んでいきます。見上げると反転された日本列島が見えます。

2010_12_24_05.jpg屋外の勾配を登っているとコンクリートが妙な形になっています。坂の上から見ると日本列島だと分かりました。写真の遠くに見えるのか北海道。


『不死門』や『極限で似るものの家』、『宿命の家』など13の項目に分けられ、それぞれ目的を持った空間が作られています。それぞれ面白い空間ですが、webやパンフレットでは「使用法」が書かれています。その内容がかなり難しい。

たとえば、

●空を、すり鉢形の地面に引き下ろすようにしてみること。
●どんな角度から眺める時も、複数の地平線を使って見るようにすること。
●「白昼の混乱地帯」の中では常に、ひとであるより肉体であるよう努めること。

などなど。

2010_12_24_04.jpg壁面にグラフィティーのようなものが見えます。

2010_12_24_07.jpg近くに行って見るとペイントされているのではなく凹凸になっています。何の形だろうと思っていると、警備員さんが「九州だ」と教えてくれました。九州?実はここにも巨大な日本地図があり、壁面には九州の一部が凹凸で形作られているそうです。

航空写真で見ると、こんな感じに。
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全部で5つの日本列島があるそうで、残り2つの場所を警備員さんが教えてくれました。


来年から修復工事をするようで見られる範囲が狭くなるそうです。養老の他に、東京の三鷹に『三鷹天命反転住宅』という建物があります。そこでは見学することはもちろん、1週間~泊まることもできるそうです。

ふくらむ講座15回目(フライト当日の記録)フライト編

海月が完成し、見に来た人も一緒になって外に運びます。

ロープを付けようとしますが、暗い中で場所がなかかなか分からず、また、間違えることもあり時間がかかります。送風機で風を送りますが、体積が大きいのと2重構造のため、なかなか膨らみません。膨らましながら今回始めて使用するフォグマシンでスモークを入れていきます。同時に電球を取り付けますが、これにも四苦八苦。さらには電線がおかしなことになっていて予定時刻を過ぎてもフライトの準備ができません。寒い中、見に来た人を待たせてしまい、とにかく焦る気持ちを抑えながら急ぎます。

フライト時刻から1時間近くが過ぎ、すべての触手にも空気がはいりました。ようやく準備ができても半分ほどしかふくらみません。仕方なく慎重にバーナーを入れ、立ち上げを試みます。

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熱気を入れると少しずつ膨らんでいき、立ち上げることに成功。今まで地道な作業が続き、姿を見せなかった海月がついに目の前に現れました。

バーナーを続け、浮力が強くなってきます。海の音が流れ、中学生の朗読が始まります。
「海の月」と呼ばれている海月。でも空には月があります。「きっと僕が本当の月なのに」。そう思った海月は空の月に会いに行きます。

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それまで雲に隠れていた月も、フライトの瞬間に雲が晴れ、空には月が現れました。静かな遊泳をしながら物語は続きます。

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月と対話をした海月は海に光を照らしながら帰ってきました。


約10分間のわずかな物語が終わると、風が吹き始め、月も再び雲に隠れてしまいました。最後に会場にいる人みんなで、海月の中に入ります。中はまだ暖かい空気が残っていました。

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9月から始まった講座。10分間の物語の中に、その4ヶ月が詰まっています。

ふくらむ講座15回目(フライト当日の記録)制作編

ついにフライト当日です。経験上のカンでは最高のコンディションになるはずです。

今日は、体育館が使えるので視聴覚室にある、素材や道具、そして海月本体を体育館に運びます。

ラストスパートの制作は大きく分けると、ワイヤリング、触手、リング(バーナー開口部)、電球関係の4つです。海月を膨らませてワイヤリングと触手、リング付けを同時に行います。

視聴覚室では半分も膨らますことができなかったので、大きさを実感することができなかったのですが、7割ほど膨らむと想像していた以上の大きさです。

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昨日苦戦したワイヤリングも1時間ほどで終わると、海月の形がより具体的になってきました。上部は体育館の天井に付きそうなほど膨らんでいます。

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ワイヤリングと同時に触手の制作も終わり、海月の底部にリングを付けます。海月の中に入っての作業ですが、これが付け終わるまで外に出られません。途中で「鼻がかみたい」「トイレに行きたい」と言っても終わるまで出られません。そう言った意味でも、なんとか無事にリングが付きました。午前の最後に電線の貼り合わせと、会場の張紙作成を行い、13時頃に遅い昼食。

14時になり作業再開です。フライト準備まで残り2時間。順調だったはずが、だんだんとタイムトライアルになってきました。海月にロープを付けるために、長さ1mほどのロープが4つ又に分かれ、中心に輪が作られたロープを付けます。
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これを9カ所に取り付けます。

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それと同時に午前に作った触手の貼付けを12本行います。触手は海月の下部に付くので、床と海月の間を潜っての制作。手伝いに来てくれたお母さん方も子どもと一緒になって作業しました。

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海月本体とは別に電球作成も急ぎます。空中で色を変えるため、電球をひとつ注文したのですが、その電球の到着が遅れるという連絡を受けて、急遽、3年前に使ったブラックライトを流用することになりました。ブラックライトとハロゲンライトを付けて、ハロゲンに黄緑色のゼラを貼付けます。

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全体の作業が終わったのが4時半くらい。機材の運び出しと平行して、小体育館でこれまでのふくらむ講座のザックリとした展示の準備をしました。
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そして最終ミーティングが始まったのがフライト予定時間1時間前の5時からでした。

演出に関しての打ち合わせは最初で最後です。いつも通りドタバタになってきました。中学生が脚本を読み上げながらBGMを流し、海月がどういう状態なのかを想像しながら段取りを共有していくのですが、それでも、役回りの違いがあったり、BGMのタイミングがズレていたりなど、スムーズに進みません。海月が飛び立つ重要なシーンでBGMが流れず、代わりに誰かの携帯からマリオの曲が流るというハプニングも。これが本番でなくて良かったと思いますが、不安を拭うことができないまま時間となりフライト準備へ。

風は今までないほど無風の状態です。


フライトへ続く→

フライトしました。

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天候にも恵まれ、無事、フライトに成功することができました。
とても寒い気温のなか、ご来場いただきありがとうございました。

フライトの詳細は後日、報告いたします。

参加してくれた中学生、父母の方、地域の方、ありがとうございました。
お疲れさまでした!