ふくらむロゴ

5月にむけてミーティング

5月に参加するお祭りの企画を考えるため、ミーティングをしました。

ここ数年は、紙と絵の具を用意して、祭りの午前中に来た子どもが絵を描く、もしくは足跡を付けるなどの行為をして、その紙を午後に貼り合わせて気球にして、最後に飛ばす、という企画をやっていました。

2時間ほどで貼り合わせなければならず、いつもギリギリで完成していますが、体力的にかなり限界があり、今年は別の方法で面白い企画を考えています。

あらかじめ気球を作っておいて飛ばすだけでなく、当日来た子どもが気球を見るだけでなく、なんらかの形で制作に参加できて、最後にそれを飛ばすということが出来ればいいのですが。

スモーク実験

現在、5月のお祭りで行う企画を考えています。大抵「なんか面白いこと出来ないかな」という単純なところから始まります。海月で使ったスモークマシンがあるのでなんとなく部屋で煙を出してみました。

2011_2_24_01.jpg10分も作動させていると部屋は煙でいっぱいになります。窓からは日光が差していますが、3メートルも離れると窓の輪郭はなくなり、視界全体が淡い光で覆われました。

2011_2_24_02.jpg飛行機で雲の中に入ったような不思議な感覚になります。部屋の大きさも認識できず、孤独感もありますがやさしい感覚です。

春に向けてのミーティング

今月の11日に引き続き、ミーティングをしました。

昨日の実験のように、ドーム状に膨らんだ空間を作って、その中にスモークを入れてみるというアイディアについて考えます。その中に子どもが入り、霧を体感する空間です。感覚的に面白いのですが、言ってしまえば、ただの避難訓練と似たようなもの。これにあとシンプルな一工夫がると、さらに面白くなりそうなのですが。

例えば、
○地面がモコモコしている
○中で宝探しをしてみる
○中に風船がある
○カラーセロファンを使う

などなど25案ほどあがりましたが決定打になるものはなく、次回までの宿題となりました。
また、少し危惧することとして

○中がビニールハウスのように暑くなるから長時間居ると熱中症の恐れがある
○内部温度があがることで浮力が生じるのでは。
○換気は大丈夫か。
○子どもが中で走ってぶつかるのでは。

などです。小さなモデルを作って実験する必要があります。

霧の写真いろいろ

霧について考えつつ、今までの写真を見返していると、いくつか霧の写真がでてきました。

2011_2_26_01.jpg日光の湖です。こんな濃の中に1台のスワンボートがありました。遠くへ行くと岸すら見えなくなりそう。乗っている人はどのような景色が見えたのだろう。

2011_2_26_02.jpg四国カルスト高原です。ガイドブックには広大な景色が見える写真があったのですが、行ってみるととんでもない濃霧に包まれていました。真っ白でなにも見えなかった記憶しかありません。

2011_2_26_03.jpg屋久島の縄文杉近くの山小屋に泊まったときの写真です。屋久島は天気の移り変わりが激しく、晴れていたと思ったらすぐに大雨ということもしばしば。コケの繁殖も凄まじく、常に高湿度です。

2011_2_26_04.jpg早朝の那智の滝付近です。朝モヤに朝日が差して光の線が見えました。霧は背景を隠すだけでなく、光の道筋を見せてくれます。

2011_2_26_05.jpg星を撮影しに行ったとき、近くに水辺がありました。水面にうっすらと何か大きいものが揺らいでいて、ライトを照らして確認してみました。水を覆うように、水面から高さ50センチほどだけ霧が漂っていました。

やっぱり霧と言っても色んな表情があります。

霧の和歌

昔の人は霧をどうみていたのだろうと思い、霧が登場する和歌を調べてみました。

霧というのが秋の季語だそうで、全体的に寂しい印象です。平たく言うと「夏はさんさんとしていたけど、これから寒くなるんだな。」という名残惜しい感じ。温かさかが寒さに変わる変化を、霧が訪れることで感じていたのだと思います。

霧さむき籬の島の冬がれに浪の花もや色かはるらん [土御門院]
しほがまのうらかなしかるふなでかな霧の籬の島がくれして [前中納言為忠]
秋山のふもとをこむるうす霧はすそ野の萩の籬なりけり [藤原伊家]
むら雨の露もまだひぬまさの葉に霧立のぼる秋の夕ぐれ [寂蓮法師]
薄霧のたちまう山のもみぢ葉はさやかならねどそれと見えけり [高倉院]
霧立ちて 雁ぞ鳴くなる 片岡の 朝の原は もみぢしぬらむ [不明]
春霞かすみていにしかりがねは今ぞ鳴なる秋霧の上に [不明]

霧がはれて、見えなかったものが見えてきたという歌もあります。『たえだえ』という言葉が多く使われ、覆いかぶされていた風景がちょっとずつ現れてきた様子。

朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木 [藤原定頼]
夜をこめて朝たつ霧のひまひまにたえだえ見ゆる瀬田の長橋 [藤原定家]
霧はるる浜名の橋のたえだえにあらはれわたる松のしき浪  [藤原定家]
朝ぼらけ霧のはれまのたえだえに幾つらすぎぬ天つ雁がね  [風雅]
津の国の猪名野の霧のたえだえにあらはれやらぬ昆陽の松原 [風雅]
たえだえにあまの家島あらはれて浦わの霧に浪のよるみゆ [正徹]
つつみこし思ひの霧のたえだえに身をうぢ川の瀬瀬の網代木 [後水尾院]
しほがまのうらふくかぜに霧はれてやそ島かけてすめる月かげ [藤原清輔朝臣]
夕霧のまがきの島やこれならん波にぞはれぬしほがまの浦 [頓阿]

また、霧の持つ「モヤモヤ」とした状態を、見立てたり例えることで、作者の心情を表したものもあります。

思ひ出づる時はすべなみ佐保山に立つ雨霧のけぬべくおもほゆ [萬葉集 十二相聞]
我が思ふ人すむ宿の薄もみぢ霧のたえまに見てやすぎなん [藤原定家]
ぬばたまの夜霧ぞ立てるころもでの高屋のうへにたなびくまで [九雑歌]
誰がための錦なればか秋霧の佐保の山辺を立ちかくすらむ [紀伴紀]
九月のしぐれの雨の山霧のいぶせきわがむね誰を見ばやまむ [十秋相聞]
初霧の空にたちつる心かな思はれむとも知らぬ我が身を [頼基集]

霧が立ちこめることで感じる、寂しさや切なさや、逆に霧がはれることで先が見えてくるもの、霧で見えないからこそ想像する歌が多くあると感じました。

フォグ実験2

前回は日中にフォグ実験をしましたが、今回は夜に照明を使ってフォグ実験をしました。

2011_3_2_01.jpgちょうど赤い電球がいくつかあったので、それを部屋に取り付けて実験を始めます。

2011_3_2_02.jpgフォグマシンを作動させて2.3分ほど。すでに光線が見えています。

2011_3_2_03.jpg普通の電球にカラーフィルターかざしてみます。

2011_3_2_04.jpg作動させて6分。もう1m先が見えづらい状態。

2011_3_2_05.jpg作動させて10分。もう足下も見えません。メジャーで可視範囲を測ってみると6.70センチでした。

2011_3_2_06.jpg部屋に付けた赤い照明と、普通のクリップライトに青のフィルターをかざして同時に照らしてみました。青の照明に近づくにつれて紫から青へと視界の色が変わっていきます。見える範囲のすべてが赤と青のグラデーションの世界になります。

また、照明を消してから、再度、付けたときの感じが、普段とまったく違います。見える世界がほとんど均等に照らされるのでバランスもおかしくなる感覚です。

霧の作品



霧を調べていると、霧を扱った作品がいくつかありました。


中谷芙二子『雨月物語-懸崖の滝』

横浜トリエンナーレ2008の作品です。昭和記念公園の『霧の森』が知られています。霧を使った作家です。

『Blur Building』

スイス・エキスポ2002で発表された建築。

オラファー・エリアソン『Feelings Are Facts』

影や光の屈折、水滴を使って虹を作るなど、自然現象をとりいれた作品を作る作家。

アントニー・ゴームリー『Blind Light』

イギリスの彫刻家の作品。

他にも霧ではありませんが、細かい水滴を噴出して映像を投影するという作品もいくつかありました。

霧の面白さメモ

何度か霧の実験を行ったので、そこで感じたおもしろさをまとめてみます。


・部屋の広さが分からなくなる
・妙な孤独感がある
・シャープな輪郭線がなくなるので焦点を定めにくい
・色はすべてグラデーションになる
・身体のバランス感覚も鈍る
・人の声は聞こえるが姿が見えないので、どれくらい離れているか分からない
・音も聞こえにくくなっている気がする
・50センチほどに近づくと、突然人が現れる
・夕日のように、全体的に橙色っぽくなる
・懐中電灯で照らすと光の線が見える
・照明を消してから再度付けると、通常よりも明るく感じる
・何かを手に取る時、目を手に近づけないと物が取りづらい
・両手が自由なら、目隠しよりも不安感がある
・走るには勇気がいる

5月に向けて3回目のミーティング

昨日、5月のお祭りの3回目の企画ミーティングをしました。

まだ数回のミーティングしか行ってませんが、とりあえず霧のドームということで企画が進んでいます。しかし、そこで子どもがどのように参加するのか、それが課題です。

今回で6回目の参加になりますが、今までのふくらむの企画は、気球となる紙と絵の具を用意して、当日来た子どもが絵を描いたり、足跡や手形を付けるというものでした。午前中に子どもが参加し、午後の1時間程度で貼り合わせて気球にして、最後に飛ばしていました。

霧に包まれた空間そのものが面白いが故に、霧のドームの中で子どもが何に携わるのかを、なかなか見つけられません。

なので、霧ドームを煮詰めつつ、一方で新たな企画を考えることに。残り約2ヶ月ですが、どんなものになるのか。。

ふくらむの電力消費

前回のミーティングで、あらかじめ作ったドームを持っていき、そこにスモークマシンで霧を入れるという案があがっていたのですが、計画停電がある可能性があることに気付きました。参加するお祭りの日程が5月なので、まだ分かりませんが、最大で3時間40分の停電があるおそれがあります。そうなるとスモークマシンは使えません。

そうでなくても、使用するスモークマシンは500Wの電力を使います。これはドライヤーやアイロンのおよそ2分の1ですが、ドライヤーは床屋でさえ5時間も連続して使いません。ドライヤーそれを5時間近く連続して使うのは、節電が求められている現在では如何なものかとも思います。ふくらむが気球を飛ばすにあたって、それ以外にも業務用送風機(230W)を使います。

やはり、何か違う案を考えたほうがいいのかもしれない。