学生のときに大変お世話になった先生から、隅田川で気球を飛ばさない?という突然の連絡があり、その打ち合わせに行く。
会合の前に、飛ばす予定地である隅田区役所に行ってみた。すぐ隣には首都高と隅田川があり、近くには路線も通っている。ビル風を利用した風力発電のプロペラが回り、ペットボトルが転がるほどの風が吹いていた。パッと見た様子だと、気球を飛ばすには最悪の場所だ。ここで「安全に飛ばす」というのはかなり難易度が高い。無茶をする僕たちが見て、そう判断するということは、許可する機関に対しては相当な説得力が必要になりそう。
そして夜になり待ち合わせ場所に向かう。店の前で待っていると交差点の向こうでお互いを確認し手を振る。会ってみると数年ぶりなのにまったく変わらずハツラツとしている。やはり常に忙しく、何かをつくろうとしている人は歳をとるということに無縁なのかもしれない。
席につくと早速、プロジェクトのコンセプトの話へ…と思いきや、「ここにこんなものがあったら面白い」などと、とにかくフランクにアイディアをポンポンと空中に挙げ、それらからまた新しいアイディアを見いだしていく。熱せられたフライパンの放たれた水滴が、ジュワッと蒸発する感じでとっても面白い。その過程で、ふくらむの経緯や、過去の話も含みつつ、あっと言う間に2時間が過ぎた。
とは言え、現実に目を向けたときに、やはり交通機関への危険性が問われるという問題がある。さらに、毎年11月に行っている企画と期間的にバッティングするため、あがった案をとどめておきながら、安全性や場のリサーチを含めて、ゆっくりと考えてみることになった。