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レアな熱気球の本

この前の新年会で気球の本を貸してもらいました。

熱気球―風と遊ぼう熱気球―風と遊ぼう

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1992年12月に成美堂出版から発売された本です。気球の歴史について触れた本はたくさんあるけど、気球の構造や飛ばし方、競技について書かれている本は非常に珍しい。いわば、気球のパイロットになるために読むべき1冊です。

飛行についての本は以前から集めているので、これも購入しようとamazonで検索してみると中古しかなく、値段を見るとなんと9500円!もとの値段は定価1500円です。買う人が少ないとはいえ、これはあまりにも高すぎだ。

七夕の国

おとといの「光の道」では冬至の日だけ照らされる道について書きましたが、そのような1年間のある瞬間だけ何かが現れることについて書かれた漫画があります。

七夕の国 (1) (ビッグコミックス)七夕の国 (1) (ビッグコミックス)

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岩明均が『寄生獣』の次に書いた漫画です。
ネタバレ無しのあらすじ。

紙に小さな穴を空けられる能力を持つ大学生・南丸洋二の祖先の故郷である丸神の里で、頭部をえぐられるという不可解な殺人事件が起こる。それと同時期に、南丸と同じ祖先をもつ丸神教授が失踪する。自らのルーツを調査していた丸神教授の部屋からは、スプーンでしゃくり取ったような木材や石が発見される。なぜ教授は失踪したのかを調べるべく、南丸は丸神ゼミのメンバーと共に丸神の里へ向かう。

『寄生獣』同じく傑作です。物語は、穴をあける特殊能力がなぜ、どのようにして発生したのか、その能力とは何かというところに迫っていきます。これが非常に面白く、驚かされます。

寄生獣 (1) (アフタヌーンKC (26))寄生獣 (1) (アフタヌーンKC (26))

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ヒストリエ vol.1 (アフタヌーンKC)ヒストリエ vol.1 (アフタヌーンKC)

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『ファザー・グース』1

以前、映画の『グース』について書いた記事がありましたが、その映画のもとになった実話が語られた本があります。

カナダの彫刻家、ウィリアム・リッシュマンという人が書いた『ファザー・グース』という本です。
幼いときから空への憧れを持ち、空軍を志願するものの失敗し芸術大学に入ってから彫刻家としての活動しつつ、鳥とともに飛びたいという想いを実現させた人です。

映画の『グース』でも主人公となる少女の父親が彫刻家なのはおそらくリッシュマンをモデルにしているのでしょう。映画のストーリーでは少女が開発されつつある森の中からグースの卵を集め、育てたのち、いかに飛ばすかが主要素として描かれていますが、実話となるこの本では中盤あたりですぐに飛んでしまいます。

リッシュマンはガンと飛んだ後、その後も白鳥や鶴などとの飛行や渡りを教えることに挑んでいく苦悩がこの本の後半で情景を浮かばせるように、細かく描かれています。人と鳥、政治的な圧力、経済的な問題、そして自らの生活を抱えつつも鳥と飛びたいという異常なまでの熱が伝わってくる一冊です。

今後、この本の中から興味深い文を抜粋しながら述べたいと思います。

ファザー・グースファザー・グース
William Lishman

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『ファザー・グース』2

『グース』のモデルとなった彫刻家のウィリアム・リッシュマンという鳥と一緒に飛んだことを綴った本、『ファザー・グース』より興味深い言葉を抜粋します。

ガンたちは、いやそれを言うならどんな鳥も、空という彼ら本来の世界にいる。それに対して人間は、空にいようとするなれば、なんらかの粗雑な機機械に頼らなければならない。私たちは常に、安全に降りられるだろうかと心のどこかで心配している。その心配があるかぎり、鳥たちように心底自由には、大空の飛行を楽しむことはできないのだ。

鳥とともに、鳥のように飛ぼうとし、実際に空を飛んでいたリッシュマンだからこそ発せられた言葉だと思います。すぐとなりで飛んでいるガンたちがとても優雅に、堂々と飛んでいるように見えたのだろう。人類が飛行機で飛ぶという行為は重力の束縛から開放されたのではなく、空にいるときも常に地上を背負わなければならない不自由さ。鳥の飛行がより高度で優雅に見えるからこそ、自らの飛行姿が粗雑に見えてしまうリッシュマンの鳥への憧れが感じられます。

人類は動力飛行を得てから100年以上の月日が経って多くの人が飛べるけれども、おそらくもともと持っていた「鳥のように飛ぶ」ということはまだ実現されていないのだろう。

『ファザー・グース』3

結果的に3夜連続になってしまいましたが、書籍『ファザー・グース』を抜粋して紹介しています。著者のウィリアム・リッシュッマンが鳥と飛ぼうとし、鳥の高度な飛行技術や鳥の中での社会的階層を見て次のように彼の想像はふくらんでいきます。

ひょっとして鳥の起源は人間とよく似たものだったのではないか。はじめはわたしたちのように、大きな脳を持っていた、ということだってあり得ないわけじゃない。<省略> 今のわたしたちがその途上にあるように、世界中に技術革新の波をおこしたのだ。だが、おそらくその段階で、彼らの進化は私たちとは違う方向に進んだ。たぶん彼らは先の先まで考えた末、悟ったに違いない。いまの私たちの文明と便利さの一部になっているような、高度に発達した科学技術というものは、すべてあまりに粗雑で非効率的であるということを。

このあとの文でも、どうしたら上手く地球の恩恵を受けることができるかを追求したために今の鳥のかたちになったことを「SF的すぎると思いかな?」と読者に言葉をかけながら語っています。それにしても、恐竜から大脳を持った生物に代わり、科学技術を持った末にそれを捨てて翼を持つことで地球と共存していく道を選んだというのは作者が言うというりSF的かもしれませんが面白い見解です。

昨日抜粋した文にも『粗雑』という言葉がありましたが、確かに鳥と比べれば人は轟音を立てないと飛ぶことができません。鳥がどのような進化を辿ったのかはわかりませんが、いずれにせよ人間が鳥のように身体を変えて飛べるようになるには相当な時間がかかりそう。科学技術だって捨てられない。だとするなら、鳥への憧れをもちつつカッコ悪い飛び方で飛ぶしかないんじゃないか。カッコ悪いけど、少しでも鳥に近づく飛び方はまだあるように思う。

                                                                                                                                              

空飛ぶモア

一昨日、漫画『三つ目がとおる』に登場した鳥についてふれたので、ちょっと詳しく。。

物語の中でも最初は謎の巨大鳥として描かれていますが、大きさや姿から絶滅したモアという鳥に似ていることがわかってきます。

このモアというのは実在した鳥でニュージーランドに生息していましたが、400年前に森林の減少やマオリ族の乱獲によって絶滅したと言われています。3メートルもの大きさで羽は退化し飛ぶことはできず、その代わり脚力が発達していました。

そのモアに似ていることから、物語の中でも「モア」と名付けられます。しかしこの「モア」は羽を使わず飛ぶことができます。
その飛び方はおしりに袋状の器官を持っていて、空気を吸って噴射することができます。その噴射の反動で飛ぶという奇抜な発想。

実際、こんな生物がいたら面白いと思いますが、実在したモアも3メートルという大きさ。もう少し生きていて欲しかったと思う一方、それは絶滅させてしまったことと同じエゴなのかもしれないと思います。

日経新聞に掲載されます。

1週間ほどブログを空けてしまいました。今日からまた復活します。頻繁に見てくれている方、どうもすみませんです。1週間分もちょっとずつ埋めていこうと思っています。

さて、突然ですが、明日(9日)の日経新聞にふくらむについての記事が掲載されます。
ふくらむがなぜできたのか、どのようなことを行ってきたのかが語られています。
目を通してもらえたら嬉しいです。

 
 

『空飛び猫』

久々に空に関わる書籍紹介です。

アーシュラ・K・ル=グウィン 著/村上春樹 訳
『空飛び猫』

タイトル通り、翼のある4匹の兄弟猫の物語。
住むには環境が悪い生まれた街、そして親元を離れ、飛んで自分たちの新たな住処を探しに行きます。

翼があることで珍しがられ、恐れられ、傷つけられ、暖かな出会いに遭遇します。
一風変わった能力があるものには信頼関係と約束事があって、他者と結びつくことができるのかもしれません。

「いっそ飛べなくなった方がいいんだよ」
猫の兄弟たちに発せられる言葉がありますが、それでも猫たちは飛んでいきます。

翼が何のためにあるのか考えさせられました。


空飛び猫 (講談社文庫)空飛び猫 (講談社文庫)
アーシュラ・K. ル・グウィン Ursula K. Le Guin

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『クラゲの一生』

クラゲのことを調べていたら、分かりやすい児童書を見つけました。

『クラゲの一生』
稗田一俊・大塚高雄 著

ミズクラゲを例に、プラヌラという卵のようなものが形を変え続け、クラゲに成長していく姿、そして死んでいく過程が分かりやすい写真と文章でシンプルに説明されています。まるで映像を見ている気分になります。

クラゲというと、お椀を逆さまにしてプカプカと漂うイメージがありますが、そこに行き着くまでには様々な形をして、目にするクラゲはその一生の半分ほどなんだと気付かされました。