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『ファザー・グース』2

『グース』のモデルとなった彫刻家のウィリアム・リッシュマンという鳥と一緒に飛んだことを綴った本、『ファザー・グース』より興味深い言葉を抜粋します。

ガンたちは、いやそれを言うならどんな鳥も、空という彼ら本来の世界にいる。それに対して人間は、空にいようとするなれば、なんらかの粗雑な機機械に頼らなければならない。私たちは常に、安全に降りられるだろうかと心のどこかで心配している。その心配があるかぎり、鳥たちように心底自由には、大空の飛行を楽しむことはできないのだ。

鳥とともに、鳥のように飛ぼうとし、実際に空を飛んでいたリッシュマンだからこそ発せられた言葉だと思います。すぐとなりで飛んでいるガンたちがとても優雅に、堂々と飛んでいるように見えたのだろう。人類が飛行機で飛ぶという行為は重力の束縛から開放されたのではなく、空にいるときも常に地上を背負わなければならない不自由さ。鳥の飛行がより高度で優雅に見えるからこそ、自らの飛行姿が粗雑に見えてしまうリッシュマンの鳥への憧れが感じられます。

人類は動力飛行を得てから100年以上の月日が経って多くの人が飛べるけれども、おそらくもともと持っていた「鳥のように飛ぶ」ということはまだ実現されていないのだろう。

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