ふくらむロゴ

リングをつくる

気球を飛ばしているとき、地上と気球をつないでいるのはロープですが、そのロープはリングという、気球の底部にある竹製の輪に結ばれています。

2010_12_13_01.jpg去年の『記憶の種』の立ち上げている写真です。数人で持っているのが、そのリングというもの。中学校で作る時間がないので海月のリングを家でつくりました。

2010_12_13_02.jpgまずはリングに付いた過去のグラシンを剥がします。ボンドで接着されているのでカッターで大雑把に削ぎ取っていきます。すると過去に作った気球の色が出てきました。

2010_12_13_03.jpg
一番下の層にあった緑色の紙。間違いなくふくらむができて、最初に作った気球でしょう。思えばふくらむができてから5年以上が経ちます。時間の経過が素材から気付かされます。

2010_12_13_04.jpg2010_12_13_05.jpgリングの大きさに貼ったグラシンに穴をあけ。リングとグラシンをボンドで接着したあと、30センチほどのひし型に切ったグラシンで2重に補強。これが海月の底部に付きます。
2010_12_13_06.jpg

テスト飛行にむけて荷造り

フライトが明後日にさしせまりました。海月はまだ完成していませんが、なんとか間に合わせましょう。

しかしながら、例年だと気球が完成するのは決まって、フライト当日のことがほとんどです。そう考えると、制作はいつもより順調と言っていいのですが、今回は演出も制作のうちなので、おそらくいつも通りテンヤワンヤになると覚悟しています。

明日の夕方、テスト飛行をする予定なので荷造りをしました。素材はもとより、バーナー、ガス、送風機など車に積み込みます。やはりかなりの量になります。

2010_12_17_01.jpg明日、明後日と、天候は悪くなさそうです。

ふくらむ講座14回目(フライト前日の記録)

ついにフライト前日。テスト飛行をするため海月の完成に急ぎます。

半球と半球を貼り合わせて球体にしていきます。最初は2つの班に分かれて接合できますが、球体に近づくと1班しか作業ができないようになります。球体の内側から貼り合わせるので送風をしながら、中に入っての作業。このあたりからようやく全貌が見え始めてきます。

2010_12_18_01.jpg2010_12_18_02.jpg

午後15時頃に球体に貼り合わせる作業が完成。これで完全な袋状になりました。そして2重構造を保つため、内側のグラシンと外側のビニールとを、37カ本の紐で結ぶ作業に入ります。送風を続けても完全に膨らませることはできず、半分はグシャグシャの状態で結んでいきます。なので結ぶ箇所を何度も間違えることに。

気がつくと時間は夕方になっていて、さらに外では強い風が吹き始めてきたのでテスト飛行はできません。テスト飛行を明日するとなると、万が一大きく破損した場合、修復時間もありません。なのでテスト飛行は無しで本番に賭けることになりました。

フライトしました。

2010_12_19.jpg
天候にも恵まれ、無事、フライトに成功することができました。
とても寒い気温のなか、ご来場いただきありがとうございました。

フライトの詳細は後日、報告いたします。

参加してくれた中学生、父母の方、地域の方、ありがとうございました。
お疲れさまでした!

ふくらむ講座15回目(フライト当日の記録)制作編

ついにフライト当日です。経験上のカンでは最高のコンディションになるはずです。

今日は、体育館が使えるので視聴覚室にある、素材や道具、そして海月本体を体育館に運びます。

ラストスパートの制作は大きく分けると、ワイヤリング、触手、リング(バーナー開口部)、電球関係の4つです。海月を膨らませてワイヤリングと触手、リング付けを同時に行います。

視聴覚室では半分も膨らますことができなかったので、大きさを実感することができなかったのですが、7割ほど膨らむと想像していた以上の大きさです。

2010_12_19_01.jpg
昨日苦戦したワイヤリングも1時間ほどで終わると、海月の形がより具体的になってきました。上部は体育館の天井に付きそうなほど膨らんでいます。

2010_12_19_02.jpg
ワイヤリングと同時に触手の制作も終わり、海月の底部にリングを付けます。海月の中に入っての作業ですが、これが付け終わるまで外に出られません。途中で「鼻がかみたい」「トイレに行きたい」と言っても終わるまで出られません。そう言った意味でも、なんとか無事にリングが付きました。午前の最後に電線の貼り合わせと、会場の張紙作成を行い、13時頃に遅い昼食。

14時になり作業再開です。フライト準備まで残り2時間。順調だったはずが、だんだんとタイムトライアルになってきました。海月にロープを付けるために、長さ1mほどのロープが4つ又に分かれ、中心に輪が作られたロープを付けます。
2010_12_19_07.jpg
これを9カ所に取り付けます。

2010_12_19_04.jpg
それと同時に午前に作った触手の貼付けを12本行います。触手は海月の下部に付くので、床と海月の間を潜っての制作。手伝いに来てくれたお母さん方も子どもと一緒になって作業しました。

2010_12_19_05.jpg

海月本体とは別に電球作成も急ぎます。空中で色を変えるため、電球をひとつ注文したのですが、その電球の到着が遅れるという連絡を受けて、急遽、3年前に使ったブラックライトを流用することになりました。ブラックライトとハロゲンライトを付けて、ハロゲンに黄緑色のゼラを貼付けます。

2010_12_19_06.jpg

全体の作業が終わったのが4時半くらい。機材の運び出しと平行して、小体育館でこれまでのふくらむ講座のザックリとした展示の準備をしました。
2010_12_19_8.jpg

そして最終ミーティングが始まったのがフライト予定時間1時間前の5時からでした。

演出に関しての打ち合わせは最初で最後です。いつも通りドタバタになってきました。中学生が脚本を読み上げながらBGMを流し、海月がどういう状態なのかを想像しながら段取りを共有していくのですが、それでも、役回りの違いがあったり、BGMのタイミングがズレていたりなど、スムーズに進みません。海月が飛び立つ重要なシーンでBGMが流れず、代わりに誰かの携帯からマリオの曲が流るというハプニングも。これが本番でなくて良かったと思いますが、不安を拭うことができないまま時間となりフライト準備へ。

風は今までないほど無風の状態です。


フライトへ続く→

ふくらむ講座15回目(フライト当日の記録)フライト編

海月が完成し、見に来た人も一緒になって外に運びます。

ロープを付けようとしますが、暗い中で場所がなかかなか分からず、また、間違えることもあり時間がかかります。送風機で風を送りますが、体積が大きいのと2重構造のため、なかなか膨らみません。膨らましながら今回始めて使用するフォグマシンでスモークを入れていきます。同時に電球を取り付けますが、これにも四苦八苦。さらには電線がおかしなことになっていて予定時刻を過ぎてもフライトの準備ができません。寒い中、見に来た人を待たせてしまい、とにかく焦る気持ちを抑えながら急ぎます。

フライト時刻から1時間近くが過ぎ、すべての触手にも空気がはいりました。ようやく準備ができても半分ほどしかふくらみません。仕方なく慎重にバーナーを入れ、立ち上げを試みます。

2010_12_22_01.jpg
熱気を入れると少しずつ膨らんでいき、立ち上げることに成功。今まで地道な作業が続き、姿を見せなかった海月がついに目の前に現れました。

バーナーを続け、浮力が強くなってきます。海の音が流れ、中学生の朗読が始まります。
「海の月」と呼ばれている海月。でも空には月があります。「きっと僕が本当の月なのに」。そう思った海月は空の月に会いに行きます。

2010_12_22_02.jpg
それまで雲に隠れていた月も、フライトの瞬間に雲が晴れ、空には月が現れました。静かな遊泳をしながら物語は続きます。

2010_12_22_03.jpg
月と対話をした海月は海に光を照らしながら帰ってきました。


約10分間のわずかな物語が終わると、風が吹き始め、月も再び雲に隠れてしまいました。最後に会場にいる人みんなで、海月の中に入ります。中はまだ暖かい空気が残っていました。

2010_12_22_04.jpg


9月から始まった講座。10分間の物語の中に、その4ヶ月が詰まっています。

海月との別れ

フライトが成功し役目を終えた海月ですが、その体が予定外に巨大で、そのままでは車に入り切らない大きさです。いつもなら、ひとまず家に持って帰ってから、可能なら保管し、それが難しいのであれば川原に持って行って燃やしています。

今回は紙の他にもビニールを使っているので燃やすことはできません。中学校の視聴覚準備室に置かせてもらっていましたが、いつまでも置いておくことはできないので、思い切って処分することになりました。

制作した中学生とビニールと紙を切り離していきます。制作には計10日、時間で言うなら約50時間かかりましたが、切り離すのは1時間ほど。いつももったいない思いはありますが、花火のように一回しか上げられないというのも、気球の魅力的なところです。

2010_12_28_01.jpg
ビニール袋にそれぞれ小分けにします。空気を抜いていくと大きかった海月がビニール6個分になりました。それらを車につめて、これで海月とはお別れです。
2010_12_28_02.jpg
長かった海月の企画もこれですべてが終わりました。