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遊びから生まれるアイディア

日本経済新聞
風船のように膨らむ宇宙基地 NASA、15年夏以降に打ち上げ

米航空宇宙局(NASA)は16日、宇宙空間で風船のように膨らんで内部で飛行士が活動できる実験モジュール「BEAM」を2015年夏以降に打ち上げ、国際宇宙ステーションに取り付けると発表した。開発した米宇宙ベンチャー・ビゲローエアロスペース社がネバダ州ラスベガスで試作機を公開した。
宇宙空間という真空の状態で膨らむ宇宙基地というと、相当な強度が求められることが想像できる。「特殊な繊維素材」を使うようだ。強度のある素材と、ある程度の厚さのある皮膜を畳んで、膨らませる構造が気になるところ。

かつて、三浦公亮さんがミウラ折りを発明し、宇宙アンテナの技術にまで発展した。ミウラ折りは、小さく畳まれた紙の2点だけを引っ張ることで展開できるという折り方。その三浦さんの話が面白い。

アットホームズ こだわりアカデミー
潰れて強度が増す「ミウラ折り」の不思議

三浦さんは、人工衛星「はるか」の展開アンテナ設計で「遊びながら考えていた」という。これが難しい。しかし、遊ぶ、夢中になるということが、実は最もアイディアが湧く考え方なんだろう。

また、「昆虫が羽根を折り畳む時のシステムも、ミウラ折りと同じ」ということに対し、三浦さんは「だから僕が一番にミウラ折りを発見したわけではない。自然界には何億年も前から存在していたもの」だと言う。

この文を書いていて、チューハイを飲みたくなった。

気球事故

エジプトの熱気球爆発、日本人4人含む19人死亡


悲しい事故が起きた。
エジプトで気球の爆発事故があったそうだ。

ニュースでは、かつて個人的にお世話になった市吉三郎さんが、「ガス系統の問題ではないか」と電話でコメントしていた。

このような事故を起こさないためにも、機材のチェックを欠かしてはいけないと学ぶ。

人力ヘリコプター賞ついに

シコルスキー人力ヘリコプター賞を初受賞、加トロント大チーム

【動画】Atlas Human-Powered Helicopter - AHS Sikorsky Prize Flight


こんなゆっくりとした翼の回転で飛べるんですね。
パーツも翼と動力部分と、それらを支えるトラス構造のみ。無駄なものを極限まで省いた形です。

1994年に高さ20センチ、滞空時間19秒の飛行に成功した日本のYURI-Iからおよそ10年。軽量化と安定性が成功の鍵でしょうか。

【動画】人力ヘリコプタ YURI-I 日本記録 樹立

アンパンマン気球

【朝日新聞】次の100年へ見ててね 群馬・大泉高文化祭

19日に一般公開される県立大泉高校(大泉町北小泉2丁目)の文化祭「掬泉祭(きくせんさい)」で、生徒が製作した巨大なアンパンマンの紙気球が、13日に亡くなった原作者やなせたかしさんの追悼を兼ねて揚げられる。校内公開日の18日、本番に向けて予行演習した。


直径8メートルのアンパンマンの顔をした気球を紙で作ったそうです。40人で2ヶ月間にかけて紙を貼る制作は、地道な作業だったと思います。やなせたかし氏もきっと喜んでいるでしょう。

学校でこのような共同制作がもっとも行われる機会は文化祭だと思います。このアンパンマンの気球を作った学生たちは、授業では得られない学びを制作を通じて感じたのではないでしょうか。

クジラ気球

埼玉県、飯能市にある自由の森学園中学高等学校の学園祭(後夜祭)で、気球を飛ばすという情報を聞き、行ってきました。自由の森学園はふくらむの発足メンバーの母校です。

去年は『はらぺこあおむし』の気球を飛ばしていましたが、今年は何を飛ばすのだろうと考えながら見ていると、クジラでした。

クジラと言えば、ふくらむでも5年前の2008年にシロナガスクジラの子どもの実寸大を飛ばしました。気球は縦に長い形状であれば安定するのですが、横に長い形は飛ばしづらくなります。ましてや、クジラのように頭が大きく、尾びれに近づくほど細くなる形状は気球にして飛ばすには非常に難しい形です。

さらに、クジラの写真を見ると意外と細長く、どうやって体積を得るかが課題でした。2008年につくったときも、何度も設計と模型制作を繰り返し、実際のクジラに近づけながら、子どものクジラという印象を与え、さらに飛ぶことができる形を決めるのに苦労しました。

クジラが膨らみ始めると全貌が見えてきます。「細い!!」というのが最初の印象。実際のクジラに近づけるほど、浮力はつきにくくなります。長い時間をかけてバーナーで内部の空気を暖めていました。

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また、熱気は「上」に向かうため、頭を下げて尾に近いところからサブバーナーで尾びれを暖め、全体に熱気が行き届くように配慮していました。

一度フライトを試みましたが、背に穴があき一時補修。その後再フライトを試みます。後夜祭も終わりに近づき、時間が差し迫っていました。指示する声が波のようにクジラの周囲で交差し、ぶつかり合い、弾け、その言葉が必死に飛ばそうとする一人ひとりの行為に同調していきます。

最後のフライトに挑みます。全員が手を離すと、ゆっくりとクジラが浮き上がり、夜空を泳ぎます。見ていた人からも思わず拍手が起こりました。

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数分の遊泳を終え、ゆっくりとクジラが地上に戻ってきました。

フライト後に関係者から話を聞くと、前日に体育館でテスト飛行をしたものの、浮力が足らず完全には飛ばなかったそうです。尾びれに熱気を届かせるため、尾びれを高い位置で固定し、内圧を上げ形状をキープするなど、考えられることは全てやったということでした。その執念が、難しい形状であるクジラを空に泳がす力になったのだろうと感じます。

全ての制作者の方、素晴らしいフライトをありがとう。