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吉増剛造

7月30日から8月19日まで、ポレポレ東中野で吉増剛造の『予告する光 gozoCiné』が上映されている。毎日、違う作品を上映し、トークイベントも頻繁にある。

以前、吉増剛造の講演を聞きに行った。ペンを数十本、音声レコーダ、ビデオカメラ、石(?)でできた楽器を常に持ち歩いていることから話が始まった。「教える」という言い方ではなく、独り言のように、囁くしゃべり方に耳をすます。映像を見ながら話すときも「解説」ではなく、自らの映像を読み解こうとするように言葉を置いていく。映像の中でも同じような独り言を言っているので、どちらが今、話しているのか分からない。

講演の終盤の質疑応答になると、質問者の「なんと言ったらいいのか分からない」という言葉さえも拾い、話を掘り起こす。それまで聴講側には向けなかった目が、段々と火を灯すように一人ひとりを見つめる。10秒以上、目が合っても離してくれない。でも、やさしい言葉を渡す。「燃える」の詩を書いたときには、もっと燃え上がるような目をしていたんだろうな。

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