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気球の設計について(2)

『熱気球の浮力について』で述べたように、大きさを一定にした場合、最も表面積が少ない形が球体となる。

人が乗っている気球の形が雫を逆さまにしたような形な理由は、球体に重いものをぶら下げた場合、球体の下部にしわがより、自然に雫を逆さまにした形になってしまう。ならば、その設計の段階で、雫の形にしてしまえばいい、ということで「ティアドロップ」という形が普及している。

「人型」の気球の設計を考えていると、通常の気球には無い難しさに直面する。

■人体の形が表面積が大きいこと
人体のパーツは頭、胴体、手、足と分かれている。今回、足についてはスカートを履いているような形状だが、頭と手に関しては、内部の熱を急速に冷やしてしまう形になる。
体積を増やすため全体のサイズを大きくする方法もあるのだが、バーナーの熱量を考えると、頭に熱気が送られる前に冷えてしまう。また、作業量も増え、フライト時に風も受けやすくなる。

■曲面で出来ており、動きがあること
紙という平面素材で曲面を作るには、どうしてもポイントを増やさなければならない。例えば、立方体のポイントは8点だが、球体のポイントは増やそうと思えば無限に増やせてしまう。ポイントを増やすと、形は滑らかになるが、作業量が増える。的確なポイントを探すことが大事。
動物は基本的に左右対称だが、今回はつぼみを持っているという動作が加わる。頭だけ右を向けようとしても、自然と右肩が上がってしまうように、一部分を動かすと付随して別の部分に変化をつけないとマネキンのような不自然さが見えてしまう。

■力がかかりにくい形にすること
球体は、全ての形状が外側に膨らむ形となっていて、非常に安定している。しかし、人体は首や腕の付け根など、「凹む形」がある。気球内の空気は、より外側に膨らもうとする力が加わるので、凹んだ箇所に力が集まる。紙を素材としているので、力が集まると当然、破けてしまう。

まとめると、「大切な者を持っている」ということを保ちつつ、「つぼみを抱いた人体」を変形させるということになるだろう。

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