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クジラの中に入る

この企画に最も大切にしていることは中学生たちで自らが作った仔クジラを泳がすということである。そのためにはフライト当日の29日にできるだけ制作を少なくし、フライト実験を何度も行う必要がる。そのため、急遽制作日を追加することとなり、二日連続して制作することとなった。

フライト時のクジラの動きで逆さまになることがあるため、フライト直前に送風口を塞ぐ必要がる。検討を重ね、内側から蓋を付けることになった。その蓋の制作を小学生と行った。それと平行して前日に出来上がったパーツを貼り合わせるという大きな、そして忍耐強さが試される制作だ。今までのパーツ作りと違い立体になるため難しい。右、左半身を貼り合わせたあと、クジラの腹側から背中側に進むにつれて袋状になっていく。つまりクジラの内側に入って行わなければならない。接合箇所が少なくなるにつれて、貼り合わせられる人も減少していく。他の人は紙を持ち上げ、作業できる空間を作る。紙を持ち上げることはただ立っている役目なのだが、重要な制作のひとつなのだ。

終了時間直前にようやく貼り合わせが終わる。つまり仔クジラになったのだ。リング部に穴を開け送風。視聴覚室がやや足りないほどのお大きさまで膨らんだ。送風口からクジラの中に入る。外側からの光で描かれた泡が光ってみえる。身長が縮み、海の中に入っているような印象を受ける。7回の長い制作を経て、ついにひとつになったのだ。

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