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重力の反転

以前、電車のすべての吊り広告がGAPの広告で驚いたことがありましたが、そのGAPが珍しいキャンペーンを行ったそうです。

ギガジン
プロモーションのために一晩で店を逆さまにしたGAP店舗



すべてのものを逆さまにするというシンプルなアイディア。ですが、実際にそれをやるとなるとなかなか大変そうです。紐・糸類などはどう固定したのでしょう。写真で見てもこれだけ奇妙なので、店内の空間に身を置いたらよりいっそう変な気分がするのでしょう。

こいう空間を見ると岐阜県にある養老天命反転地を思い出します。荒川修作とマン・ギンスのプロジェクトを実現させたテーマパークです。名前の通り、地面と天井が同様に扱われていて、上を見ると便器があったり、地面が通常ではない起伏になっていたりする非常に面白いところです。転ぶ人が続出したという逸話もあります。

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ギブソンとウォークによって、ハイハイができる赤ちゃんを被験者に行われた視覚的断崖実験 ----- 床があると赤ちゃんはハイハイで前に進むが、床が無くなっているとそれを認知し、落ちないように歩みを止める ----- ということから分かるように、人間は乳児から奥行きや高さを知覚して「ここから先は落ちるので危ない」ということを先天的に知っている。生物が発生してからずーっと重力という力に影響を受け続けてきたのだから、それは当然のことだろう。

逆さまであるものに対して興味を持つのは、生物としてすり込められてきた力に反発しているから不思議に思ってしまうのでしょう。養老天命反転地では確かによろめく感覚がありました。もしかしたらこのGAPの店内もそのような感覚があるかもしれません。