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『ファザー・グース』3

結果的に3夜連続になってしまいましたが、書籍『ファザー・グース』を抜粋して紹介しています。著者のウィリアム・リッシュッマンが鳥と飛ぼうとし、鳥の高度な飛行技術や鳥の中での社会的階層を見て次のように彼の想像はふくらんでいきます。

ひょっとして鳥の起源は人間とよく似たものだったのではないか。はじめはわたしたちのように、大きな脳を持っていた、ということだってあり得ないわけじゃない。<省略> 今のわたしたちがその途上にあるように、世界中に技術革新の波をおこしたのだ。だが、おそらくその段階で、彼らの進化は私たちとは違う方向に進んだ。たぶん彼らは先の先まで考えた末、悟ったに違いない。いまの私たちの文明と便利さの一部になっているような、高度に発達した科学技術というものは、すべてあまりに粗雑で非効率的であるということを。

このあとの文でも、どうしたら上手く地球の恩恵を受けることができるかを追求したために今の鳥のかたちになったことを「SF的すぎると思いかな?」と読者に言葉をかけながら語っています。それにしても、恐竜から大脳を持った生物に代わり、科学技術を持った末にそれを捨てて翼を持つことで地球と共存していく道を選んだというのは作者が言うというりSF的かもしれませんが面白い見解です。

昨日抜粋した文にも『粗雑』という言葉がありましたが、確かに鳥と比べれば人は轟音を立てないと飛ぶことができません。鳥がどのような進化を辿ったのかはわかりませんが、いずれにせよ人間が鳥のように身体を変えて飛べるようになるには相当な時間がかかりそう。科学技術だって捨てられない。だとするなら、鳥への憧れをもちつつカッコ悪い飛び方で飛ぶしかないんじゃないか。カッコ悪いけど、少しでも鳥に近づく飛び方はまだあるように思う。

                                                                                                                                              

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